2021年01月24日
レベルワインドの夜明け ~ Shakespeare CRITERION DELUXE 1960 Model GE ~
Shakespeare
CRITERION DELUXE 1960
Model GE
ケンタッキースタイルリールの進化を語るうえで、外すことのできないメーカー、シェークスピア。今回はレベルワインダーのお話です。
世界初のレベルワインドリールは1896年 William Shakespeare Jrの発明によるものです。ツインウォームギア(なんとウォームシャフトが2本!)のレベルワインディングメカニズムのリールが記念すべきファーストモデルでした。Shakespeare社の設立が1897年なので、レベルワインダーの発明がきっかけで創業したともいえますね。
Shakespeareの初期製品にはレベルワインダーレスの" Standard "と、レベルワインダー付きの " Style C " がありました。レベルワインダー付きは銀メッキの最高級仕様。当時はどれも1品ずつハンドメイドされ、1907年にはメッキ処理が異なる " Style A " と " Style B " が追加されました。
画像はShakespeareの最初期ツインウォームシャフトのStyleC
釣具業界に激震が走った…であろう、革命的な発明 " 平行巻き装置 " は、そのパテント失効後も、ほぼShakespeare型の独壇場でした。つまりこれを超える発明が他に無かったということです。
Shakespeareの画期的な平行巻システムは改良が続けられ、ウォームシャフトは1本(クロスギア化)になり…1939年のパテントではレベルワインダーにラインクリップ機能まで装備されていました。
北米釣具メーカー各社のレベルワインドリールには、Shakespeare型レベルワインドパーツを装備したものが多いです。もちろん各社から様々なレベルワインダーが考案・パテント化されました。(例えばラインガイドがワイヤー1本で斜め配置のものとか、振り子状のものとか、ネジリン棒タイプとか…w)でも…どれも普及には至らなかったようです。
大量生産時代〜1950年代までのケンタッキー系ベイトキャスティングリールは、ほぼShakespeare型で埋め尽くされていたといって良いでしょう。
Shakespeareレベルワインダーが幅をきかせていた時代に、もうひとつのレベルワインダーの流れがありました。1928年、Pfluegerの発明で、Shakespeare型の進化型といえるレベルワインダーが登場しました。筒状のウォームシャフトカバーに樽形のラインガイドユニットが特徴的な…そう、同社のフラッグシップモデル Supreme 1573(第二世代モデル)用に考案されたレベルワインダーです。もっとわかりやすく言えば、ABU Ambassadeur型の原型となったレベルワインダーです。
※同じPflueger製品でも、ハイエンドモデルのSupremeにはPflueger型(新型)が採用され、普及モデルにはShakespeare型が採用されていました。
その後も、Shakespeare型最強の構図は続きましたが、Pflueger型の登場により、2タイプのレベルワインドシステムが徐々に市場に浸透していきました。Shakespeare型のPennレベルワインドリール。Pflueger型のABUアンバサダー。…あたりが我々日本人に馴染みのある採用例でしょうか。
Pfluegerは1967年にはリムーバブル機構を改良したレベルワインダーのパテントを出願しました。これもSupremeに搭載されていたもので1969年に認可されました。この時点でPfluegerはShakespeare傘下になっているので、パテントはShakespeareに帰属していたことになります。
というか、ここまで来ると小改良にすぎず、パテントにするほどでもないんじゃ…と思ってしまいます…w
今となってはレベルワインダーは特別なものではなくなり、ベイトキャスティングリールの普遍的な仕様として現在に至っています。…ですが、ウォームシャフトを介して往復運動させる基本構造は、Shakespeareの発明が絶対的なもので、現在もなお揺るぎない存在となっています。
ずいぶん前置きが長くなりましたが、Shakespeare CRITERION DELUXE 1960 - Model GE
Shakespeareのリールは、初期に製造された(レベルワインダーレス)スタンダードダイレクトリールを、製品名やモデルナンバーはそのままに、レベルワインド仕様として次々にモデルチェンジしていきました。その中のひとつにCriterionがありました。その他、Professional、Triumph、Classicなどもそうです。
ぼくが所有するCriterionは、最も人気がある1946年製造のGEモデルです。ラインキャパは100yd、クロームメッキされた真鍮製ボディで、ジュエル(宝石)エンドキャップが特徴的です。
ハンドル側の右プレートのダイヤルはキャストコントロールです。フェルト製のブレーキパッドがスプールに当たる仕組みになっています。
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