2020年11月02日
元祖ニューヨークリール 〜Julius vom Hofe Size2 / Size3〜
3年以上ブログを放置していました…。スローペースですが更新を再開しようと思います。釣りの趣向は変わらず、古釣具の収集(とくに海釣用リール)も相変わらずやっています。ブログ再開のテーマは " ニューヨークリール " でいきたいと思います。
JULIUS VOM HOHE
PATENT RUBBER AND JERMAN SILVER PLATED
MULTIPLYING STEEL PIVOT REEL
With Metal Bands, Back Sliding Click.(Steel Spring and Ratchet)
With Patent Adjusting Pivit Cap.
Size 2 - 150yds
Size 3 - 100yds
1880年代。米国ニューヨーク地方で、ソルトウォーターフィッシング用に考案されたダイレクトリール Julius vom Hofe リール。
画像左はSize2 (150yds)。画像右はひとまわり小さい Size3(100yds)。1889年〜1900年代初頭に製造された超骨董リールです。ぼくが所有するオールドタックルでは最古のものです…。 Size2は Thomas J Conroy ブランドでも販売されていたようで、SILVER KING Reelというモデル名が使われていました。
モデル型式の特定が困難で確証は得られていないのですが、1914年の Julius vom Hofe カタログでいえば、ジャーマンシルバーのNo.322 , No.323 だと思われます。
リールについてもっと解説をしたいところですが、これ以上はわかりません…。あまりにも古すぎて(19世紀…)情報や資料が非常に乏しいのです。今回はニューヨークリールについての概要中心のお話になります。
------------------
移民の国、米国において、英国伝来のマルチプライングフライリールが進化し、フレッシュウォーター向けの " ケンタッキーリール " と、ソルトウォーター向けの " ニューヨークリール " のふたつのスタイルが確立されました。
ニューヨークリールといえば、Julius vom Hofe 、Edward vom Hofe …いわゆるボムホフ兄弟が代表的なメーカーでした。19世紀の1857年、ニューヨークでFrederich vom Hofe&Sonを創業し、1882年にJulius vom Hofeに社名を変更しました。フライリール、ソルト向けキャスティングリール、ソルトビッグゲームリールなどを製造販売するメーカーでした。
ボムホフリールは、ジャーマンシルバー製の高級品から、ハードラバーのサイドプレートを採用したものなど、製品ラインナップは多岐に渡っていました。それらは富裕層向けの商品が多く…というより、釣り(とくに海釣りを)をレジャーとして楽しむのはごく限られた富裕層のみで、ボムホフリールの需要のほとんどがニューヨーク地方のお金持ちだったのです(^^;; ケンタッキー地方で食用目的でバス釣りをはじめた層とは、根本的に目的が異なっていたようですね。
ボムホフリールには他メーカーが(許諾無しに)模倣できない、ふたつのパテントがありました。ひとつは金属フレームにおおわれたハードラバー製サイドプレート。1885年11月17日にパテント取得。もうひとつはスプールシャフトキャップ(メカニカルブレーキ)のゆるみ防止のために考案された花びら型のワッシャー。1889年10月8日パテント取得。これらが採用されたリールは、ボムホフリールであることの証しです♫
その他にもボムホフは、リールに関する多くのパテントを取得していました。代表的なものは、スプールエンドシャフトの調整式ピボット。今でいうところのスプールセンタリング調整ダイヤルやメカニカルブレーキです。他にもフリースプール機構とそのギアシステム、ドラグシステム、スタードラグといった現代のベイトキャスティングリールの基本仕様ともいえる機能のパテントを取得していたわけです。
Size2 , Size3は、ギア比 2 : 1。ジャーマンシルバーとハードラバーを組み合わせたサイドプレート。ボールバランスハンドル(バランスウエイト付き)が採用され、ハンドルノブはローズウッド製(Size3はハードラバー製)。クリッカー付きのシンプル堅牢なダイレクトリールです。ニューヨークリールを象徴する仕様ですね。また、バスフィッシング用のケンタッキー系リールの多くが 4 : 1 のハイギアード設計なのに対し、ニューヨークリールは引きの強い海水魚を対象としているため、巻き上げ力を重視したローギアード設計になっています。2 : 1が主流で高くても 3 : 1…。例外的に4 : 1 のハイギアモデルも存在しますが、海釣りに使用されたリールのほとんどは Double Multiplying(2 : 1) でした。
※画像のBOXは別モデル Quadruple Multiplying(4 : 1)のものです。
金属パーツ表面の経年劣化はあるものの、100年以上前のリールとは思えないほどフツーなたたずまいです。
本体にはモデル名や型式の刻印は無く、海外サイトのフォーラムや画像を見ても、このタイプのVom Hofeリールは、No Name とされていました。唯一の手がかりはリールフットに刻印されたサイズを表す [ 2 ] , [ 3 ] の数字…。なので、Size2 , Size3としておきました。レイズドピラータイプのVom Hofeリールも Size* としているようです。
Julius vom Hofe のモデル名や型式を特定するのは非常に困難です…。今後も情報のアップデートがあれば訂正・追記をしていきたいと思います。
それにしても、120年も昔のタックルが現存していて、現在も流通していることに驚きです。映画バックトゥザフューチャー3で描かれた時代のモノですw ふと思ったのですが…アメリカという国は(太平洋戦争で)本土が戦火に焼かれることが無かったからビンテージ品が数多く現存しているのでしょうかね…?
カヤックフィッシング・ブログ集
JULIUS VOM HOHE
PATENT RUBBER AND JERMAN SILVER PLATED
MULTIPLYING STEEL PIVOT REEL
With Metal Bands, Back Sliding Click.(Steel Spring and Ratchet)
With Patent Adjusting Pivit Cap.
Size 2 - 150yds
Size 3 - 100yds
1880年代。米国ニューヨーク地方で、ソルトウォーターフィッシング用に考案されたダイレクトリール Julius vom Hofe リール。
画像左はSize2 (150yds)。画像右はひとまわり小さい Size3(100yds)。1889年〜1900年代初頭に製造された超骨董リールです。ぼくが所有するオールドタックルでは最古のものです…。 Size2は Thomas J Conroy ブランドでも販売されていたようで、SILVER KING Reelというモデル名が使われていました。
モデル型式の特定が困難で確証は得られていないのですが、1914年の Julius vom Hofe カタログでいえば、ジャーマンシルバーのNo.322 , No.323 だと思われます。
リールについてもっと解説をしたいところですが、これ以上はわかりません…。あまりにも古すぎて(19世紀…)情報や資料が非常に乏しいのです。今回はニューヨークリールについての概要中心のお話になります。
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移民の国、米国において、英国伝来のマルチプライングフライリールが進化し、フレッシュウォーター向けの " ケンタッキーリール " と、ソルトウォーター向けの " ニューヨークリール " のふたつのスタイルが確立されました。
ニューヨークリールといえば、Julius vom Hofe 、Edward vom Hofe …いわゆるボムホフ兄弟が代表的なメーカーでした。19世紀の1857年、ニューヨークでFrederich vom Hofe&Sonを創業し、1882年にJulius vom Hofeに社名を変更しました。フライリール、ソルト向けキャスティングリール、ソルトビッグゲームリールなどを製造販売するメーカーでした。
ボムホフリールは、ジャーマンシルバー製の高級品から、ハードラバーのサイドプレートを採用したものなど、製品ラインナップは多岐に渡っていました。それらは富裕層向けの商品が多く…というより、釣り(とくに海釣りを)をレジャーとして楽しむのはごく限られた富裕層のみで、ボムホフリールの需要のほとんどがニューヨーク地方のお金持ちだったのです(^^;; ケンタッキー地方で食用目的でバス釣りをはじめた層とは、根本的に目的が異なっていたようですね。
ボムホフリールには他メーカーが(許諾無しに)模倣できない、ふたつのパテントがありました。ひとつは金属フレームにおおわれたハードラバー製サイドプレート。1885年11月17日にパテント取得。もうひとつはスプールシャフトキャップ(メカニカルブレーキ)のゆるみ防止のために考案された花びら型のワッシャー。1889年10月8日パテント取得。これらが採用されたリールは、ボムホフリールであることの証しです♫
その他にもボムホフは、リールに関する多くのパテントを取得していました。代表的なものは、スプールエンドシャフトの調整式ピボット。今でいうところのスプールセンタリング調整ダイヤルやメカニカルブレーキです。他にもフリースプール機構とそのギアシステム、ドラグシステム、スタードラグといった現代のベイトキャスティングリールの基本仕様ともいえる機能のパテントを取得していたわけです。
Size2 , Size3は、ギア比 2 : 1。ジャーマンシルバーとハードラバーを組み合わせたサイドプレート。ボールバランスハンドル(バランスウエイト付き)が採用され、ハンドルノブはローズウッド製(Size3はハードラバー製)。クリッカー付きのシンプル堅牢なダイレクトリールです。ニューヨークリールを象徴する仕様ですね。また、バスフィッシング用のケンタッキー系リールの多くが 4 : 1 のハイギアード設計なのに対し、ニューヨークリールは引きの強い海水魚を対象としているため、巻き上げ力を重視したローギアード設計になっています。2 : 1が主流で高くても 3 : 1…。例外的に4 : 1 のハイギアモデルも存在しますが、海釣りに使用されたリールのほとんどは Double Multiplying(2 : 1) でした。
※画像のBOXは別モデル Quadruple Multiplying(4 : 1)のものです。
金属パーツ表面の経年劣化はあるものの、100年以上前のリールとは思えないほどフツーなたたずまいです。
本体にはモデル名や型式の刻印は無く、海外サイトのフォーラムや画像を見ても、このタイプのVom Hofeリールは、No Name とされていました。唯一の手がかりはリールフットに刻印されたサイズを表す [ 2 ] , [ 3 ] の数字…。なので、Size2 , Size3としておきました。レイズドピラータイプのVom Hofeリールも Size* としているようです。
Julius vom Hofe のモデル名や型式を特定するのは非常に困難です…。今後も情報のアップデートがあれば訂正・追記をしていきたいと思います。
それにしても、120年も昔のタックルが現存していて、現在も流通していることに驚きです。映画バックトゥザフューチャー3で描かれた時代のモノですw ふと思ったのですが…アメリカという国は(太平洋戦争で)本土が戦火に焼かれることが無かったからビンテージ品が数多く現存しているのでしょうかね…?
カヤックフィッシング・ブログ集
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釣りキチ三平を再現 ~ 50th anniversary special edition O池の滝太郎 ~
釣りキチ三平を再現#18 〜DAIWA 7125HC〜
キャスティングリール普及への変遷 ~ Compac SIERRA IV ~
フィッシュオリムピックのお手本 ~ Shakespeare 1905 DEUCE ~
いにしえのマシンカットデザイン ~ OLYMPIC WAVE STAR No.50 ~
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