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2020年11月13日

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

Ocean City BRIGANTINE No. 111
Surf-Casting Reel
Made in U.S.A.



北米の大手釣具メーカー、オーシャンシティーのニューヨーク系ダイレクトリールです。1935年製。ベークライト樹脂プレートの普及モデルです。カウンターバランスハンドルやローズウッド製大型ノブといった、ザ・ニューヨークリール!…といえる王道デザインが取り入れられています。

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

ぼくの最近の投稿で頻繁に登場する海釣用キャスティングリール、" ニューヨークリール " についておさらいしてみます…。黎明期のニューヨークリールは、2 : 1 のローギアード設計(最大でも3 : 1)、ローズウッド製の大きめのハンドルノブ、ボールバランスハンドル(丸形のバランスウエイト)が取り付けられているのが大きな特徴です。

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

今回紹介するOcean City BRIGANTINE No. 111は、海釣用ダイレクトリールに " フリースプール " が搭載されたものです。キャスティングやリグをバーチカルに落とし込むには便利な機能です。キャスト性能は黎明期のダイレクトタイプに比べてかなり良くなっています。

でも…この仕様では、まだナックルバスター(ハンドル逆転で手を怪我する)、サムバーナー(サミングで親指火傷)の旧態リールといえます。大型魚とのファイトは相変わらず、おっそろしいハンドル高速逆転に怯えなければいけません…w

1930年代といえば、年代的に、すでにアンチリバース・スタードラグ付きのリールが販売されていたはずですが、まだ一般的ではなく、しかも高級品であったため、普及には至っていませんでした。一般市民が手軽に楽しむサーフやベイサイドの釣りで使われるリールは Ocean City や Penn のような後発メーカーの大量生産によって普及していきました。それらの初期製品は、フリースプール搭載のダイレクトタイプが主流だったようです。

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜
画像はサムバーナーリールの必需品。フルーガー製サムブレーキパッドを取り付けてみました。

世界初のフリースプール・クラッチ機構は、ニューヨークのソルトアングラー、ウィリアム・C・ボッシェン(William C. Boschen)が考案し、1911年にジュリアス・ボムホフ社のパテントとして認可されました。Ocean City Brigantine No.111 はそのパテントが失効後の1935年に大量生産されたリールです。


進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

Ocean City社について少し解説します。創業は1922年。ペンシルバニア州フィラデルフィアで釣具卸売商社としてスタートしました。ボムホフ (Vom Hofe)ファミリーの多くのリールパテントが失効した1932年以降、一般市民向けの大量生産を見据え、1934年にモンテーグロッド&リール社 (Montague Rod and Reel Co.)を買収。釣具の開発・製造・販売までを自社で一括管理するメーカーとなりました。1939年にはエドワード・ボムホフ社 (Edward vom Hofe Co.)を買収しているので、その時点でニューヨーク系最強クラスのメーカーであったといえます。ちなみにPennの創業者 オットー・ヘンゼ (Otto Henze)は、元はOcean Cityのリール職人で、Ocean Cityから独立してPenn Fishing Tackle Manufacturing Company.を設立しました。

Ocean City のオールドリールのほとんどは大量生産されたものなので、北米のコレクターには人気はいまひとつ…のようで…。BRIGANTINE No. 111のような普及グレードのリールであれば状態の良い中古品が数多く出回っているので入手は楽です。



Ocean CityやPennが躍進していった時代…1940年代のサーフフィッシングが紹介されている面白い動画を見つけたので紹介します。



これはIGFAが保管している1947年のフィルム映像で、ストライプドバスやチャンネルバスのサーフフィッシングが紹介されています。(制作は1947年ですが、映像内容はそれ以前のものと推定されます)


進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜
進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

動画で使われているタックルは、ロッドは9〜10フィートほどのウッド製サーフキャスティングロッド。グリップジョイントですね。まだグラスロッドが登場する以前のものです。ウッド製だからなのか…棒ですw 棒高跳びでもきそうな…w Fishing Rod は 別名 Fishing Pole とも呼ばれますが、このあたりが由来しているのかも…。

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

リールは、E.Holzmann 2/0サイズです。かなり古いHolzmannリールで、しかもスタードラグ搭載モデルなので、高価なものだったと思われます。映像は一般市民の釣り、というよりプロアングラーの最先端の釣りを紹介していたのでしょうね。

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

ルアーは2oz〜3ozくらいのティンスクイッド・ジグヘッドで、フェザーテイルのメタルジグとして使っています。

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

そんなタックルで仕留めたストライパー。デカイです。

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

フィルム映像後半はチャンネルバス釣りの紹介。こちらのオジサンもウッド製の剛竿を使っていますw

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

ベイトキャスティング(エサ釣り)リグも興味深いです。リネンライン(麻が主原料のブレイデッドライン)の先に2本のワイヤーリーダーフックを接続する仕掛けで誘導式になっています。

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

こちらのリールも古いです。Edward vom Hofeのキャスティングリールですね。フリースプール機構を備えたダイレクト(ナックルバスター)リール " Model 560 - Beach Haven "あたりでしょうか。Edward vom Hofe が Ocean City傘下になる以前のリールですね。

(英語ナレーションによれば…)1937年。ハリー・ストルウェイ氏はキャスティング競技で、飛距離378feet(115.2m)のワールドレコードを出したそうです。

当時のタックルではトーナメントキャスターをもってしてもキャスティング飛距離は115mチョイだったんですね…^ ^ それが実釣ともなると、せいぜい50〜60mだったのでしょう…。言い方を変えれば海岸近くの近距離キャストでストライパーやチャンネルバスを釣ることができたということですね。

進撃の新参メーカー 〜 Ocean City BRIGANTINE No. 111 〜

チャンネルバス釣りでは、サムブレーキパッドを使ったナックルバスターリールのダイレクトファイトがわかりやすく映像化されています。それにしても興味深く面白い映像です…。対象魚のデカさがまたすごい。それとオジサンの人差し指の怪我…。ナックルバスターの洗礼を受けた証しだったりしてw




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