Angler's Life　～浮かべ釣道～

Four Brothers Pontiac No.357
Surf-Casting Reel
4 Brothers 4 - Trade Mark
Made in U.S.A.

米国で生まれた海釣用マルチプライングリールの代表的なものは、ニューヨークのボムホフリール。リールを構成する主要パーツのいくつかはパテント化され、他メーカーが同じ構造のリールを（許諾無しに）製造販売することはできませんでした…。



当時の米国のパテント有効期間は17年とされていたため、ボムホフリールのいくつかのパテントは、1920年代に効力を失い、以降は他メーカーがこぞってボムホフタイプのソルト向けリールを製造販売しました。



今回、紹介するリールは一般市民向けに大量生産されたものです。"Four Brothers Pontiac No.357" 1933年に Enterprise Manufacturing Company が Four Brothers ブランドで販売したブラス製サーフキャスティングリールです。



Four Brothersについて少し解説します。1880年、オハイオ州の4人兄弟、Earnest A.、William、Joeseph、Charlesがフィッシングタックルメーカー " Enterprise Manufacturing Company " を設立しました。のちのPFLUEGER社です。そのブランド名がFour Brothersです。そうです…ポンティアック357はケンタッキー系リールの名門フルーガーのソルト向けキャスティングリールなのです。

フルーガーの本拠地オハイオ州は、ケンタッキー州に隣接し、ニューヨーク州にもそう遠くはない地理的な理由からなのか、フルーガーはバスフィッシング向けのケンタッキー系リールはモチロンのこと、ニューヨーク系のソルト向けリールも数多く製造販売していました。



Four Brothers Pontiac No.357は、1933年から1940年に販売されたサーフキャスティングリールです。ブラス製ボディーのギア比 2 : 1 のダイレクトリール。このリールの初代モデルは Pflueger Bulldog ブランドで1920年代に登場し、ジャーマンシルバーの高級仕様でした。それを大量生産向けに仕様を簡素化し Four Brothers ブランドで販売したのが Pontiac No.357 というわけです。

特徴的なパーツが " 皮革製サミングパッド " 。これがニューヨークリールの簡易ドラグです。

ソルト向けダイレクトリールは、大型魚とのファイト中に、高速逆転するハンドルが手にぶつかって怪我をするアングラーが後を絶たなかったそうです。そんな理由で、ダイレクトタイプのリールは " ナックルバスターリール " という不名誉な俗称が付けられていました。(現在はダブルハンドルを指す言葉として残っています)また、サミングブレーキで親指を火傷するアングラーも多かったことから、" サムバーナーリール " とも呼ばれていました。ポンティアック357には、そんな時代の初期のドラグシステム " 皮革製サミングブレーキパッド " が搭載されていました。赤ベロならぬ…皮ベロといったところでしょうかw



皮ベロ付け根の金属パーツにはさりげなくPFLUEGERの刻印がありますね…。当時、PFLUEGER は社名ではなく、Enterprise Mfg社のブランド名でした。リール本体は FOUR BROTHERS ブランドで、標準装備のサムブレーキパッドは PFLUEGER BULLDOG ブランド…。ややこしいです…w ハンドルノブはローズウッド製でボムホフリールのノブ形状を踏襲しています。



Four Brothersも2件のパテントを取得していたことが左パネルに刻まれています。残念ながら、パテントがどこの部位なのかはわかりません。右パネルにはFOUR BROS TRADE[4BROTHERS4]MARK PONTIAC No.357の刻印があります。

ナックルバスターの汚名を返上した発明 " アンチリバース " や、現代の " スタードラグ " も、じつはボムホフのパテントでした。それらのパテントが失効したのが1928年。その後にOcean CityやPennが大躍進していったのでした。



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