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2022年04月18日

キャスティングリール普及への変遷 ~ Compac SIERRA IV ~


日本の釣り文化において、キャスティングリールが普及していった経緯は、欧米のそれとは違います。今回は日本の投げ釣り、ぶっ込み釣り、といった "投げること"に重きを置くリールついてのお話です。

日本の釣りで最初に使われたリールは、中国伝来の釣車(いわゆる台湾リール)にはじまり、それが各地で改良され、木駒と呼ばれる木製リールへと進化していきました。そのどれもがセンターピン(片軸受式)構造のものです。いつの頃からか木駒を投げ釣りで使う釣り人が出始めました。


画像は昭和30年(1955年)頃。大磯海岸で投げ釣りを楽しむ家族の写真です。そのタックルに注目してみると、丸竹竿に木製のセンターピンリールがセットされています。

これは当時の湘南地域独特の投げ釣りスタイルで、キャスティングに使われたリールは、大磯の "みとめ屋" という釣具店の店主が考案した " 大磯式木製リール " と呼ばれるものです。

従来の木製リール(真鍮製の軸受)に、ボールベアリングを換装して回転性能を上げ、遠投しやすいようにスプール径を従来品より大型化したものでした。大磯式木製リールは、昭和初期(1926年頃)に考案されたもので、戦後復興を経て、30年近く湘南地方の釣り人のマストアイテムとして使われてきました。


大磯式リールは、ロッドにアッパーマウントにセットします。キャスティングの制御は "親指" を使うのが流儀とされていて、文字通りサミングでキャストコントロールをするわけです。いわば和製ベイトキャスティングリールといったところでしょうか。


スプールの回転が良くなればキャスティングの飛距離は伸びますが、ブレーキをかけないとバックラッシュします。当時、大磯式木製リールで釣りをするには、丸1日のキャスト練習が必要だったといわれています。熟練者は50m〜70mの飛距離のキャストができたそうです。

この大磯式リールは全国的に有名になり、かの植野善雄氏(オリムピック釣具創業者)も大磯式には一目を置いていたようで、みとめ屋に直接話を聞きに訪れたと言われています。西湘の小田原では、大磯式よりスプール径を大きくした " 小田原式リール " という派生種も登場しました。

大磯式リールのデザインをベースに、金属製や樹脂製の派生リールが次々と登場し、横転式などのセンターピンタイプの発展型リールも国内で作られるようになりました。湘南〜西湘の投げ釣りスタイルが全国的なブームとなっていったわけです。

戦後しばらくはセンターピンリールの独壇場でした。スピニングリールは高価だったため、昭和30年代までは大磯海岸の家族写真のように木製リールや横転式リールが多く使われました。



さて、こちらも大磯海岸の写真です。少女のタックルに注目してみると…スピニングタックルを使っています。年代的には昭和30年代後期(1960年〜1964年)です。

この頃になると海岸には、木製リールや横転式リールを使う釣り人と、スピニングリールを使う釣り人が混在しました。つまりスピニングリールが普及していく過渡期であったわけです。裕福な家庭で育っていそうな少女のタックルは輸入品です。スプリットバンブーロッドにCompacのスピニングリールが組み合わされています。


Compac SIERRA IV
画像は、米国カリフォルニア州の釣具商社 コマースパシフィック社のスピニングリールです。今回は、スピニングタックルの少女の写真にちなんで、Compac SierraIV を取り上げてみました。


リールフットにはJAPANの文字…。これは日本のオリムピック釣具がコマースパシフィックにOEM提供していたスピニングリールです。写真の少女が使っていたリールもCompacブランドのリールです。おそらくSierra IVと兄弟モデルのBantamだと思われます。


1950年代のCompacスピニングリールは、ほぼオリムピックのOEMで賄われていました。カタログ画像に載っているリールは、どこかで見たことがあるようなカタチばかりですが…w 1950年代の北米のスピニングリールブームでは、これらがじつに良く売れたそうです。Compacリールの一部のモデルは日本国内でもオリムピック釣具から販売されました。


Compac Sierra IV や Bantam などのリールは、北米では安価なエントリーモデルの位置づけでした。今でいうところの、ZebcoやShakespeareのキャラクターリールのようなかんじでしょうか…。Olympic81のようなハイエンドモデルもあれば、Sierraのようなエントリーモデルもあったりと、多種多様なスピニングリール需要に対応していたわけです。


Sierra IVは構造もいたってシンプルです。メインギアなんて樹脂製ですw その割にはギア欠けなどは無いし巻き上げもスムーズです。たまたま、この個体の状態が良かったのかな…?


1950年代〜60年代(昭和30年代)にかけて、こういった廉価モデルの登場により、日本の投げ釣り(ぶっ込み釣り)にもスピニングリールが徐々に普及し始めていきました。





ここまでで、お気づきでしょうか…。

冒頭で書いた、日本のキャスティングリールの普及は、センターピンリールの " 大磯式木製リール " に始まり、その派生の"横転式リール"を経て、次に "スピニングリール" に移行していったのです。続いて両軸受構造の海釣用 "マルチプライングリール(コンベンショナルリール)" が磯の大物釣りで使われるようになり、"ベイトキャスティングリール" にいたっては、第一次ルアーフィッシングブームの1970年代中頃にようやく国産品が売られるようになり、普及しはじめたといった感じでした。

米国のそれとはまったく違う流れですね。米国では、内陸のバス釣り用に考案された、ケンタッキー系 "ベイトキャスティングリール" に始まり、その派生として海に面した地域で発展していったニューヨーク系 "サーフキャスティングリール(コンベンショナルリール)"、そして欧州伝来の "スピニングリール" …といった流れで普及していったのです。


投げること(キャスティング)に特化したリール普及の変遷をまとめるとこうなります。

米国:ベイトキャスティング → コンベンショナル → スピニング

日本:センターピン → スピニング → コンベンショナル → ベイトキャスティング


日本と米国で、リール普及の順番が真逆になっているところが面白い点です。もちろん詳細を突き詰めていけば、例外や細かな派生があったりはしますが、概ねこの流れになっています。日本のキャスティングリールが、"センターピン" から "スピニング" へと発展していったのは、欧州の釣り文化に近いといえます。

補足として…米国では、センターピンリールがキャスティングに使われることはなく、一般的にはフライフィッシング用と認知されていました。日本の場合は、両軸受構造のフィッシュオリムピックリールがキャスティングに使われることはなく、一般的には糸巻器として使われていました。

時代の差はあれど…日本と米国の釣文化の違いがじつに興味深いです…。今回のリールの話に関連して、" 長竿文化 " と "短竿文化 "についても、いつかブログ記事にしたいと思っています。




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Posted by Fishbone at 20:09Comments(0)OLD FISHING TACKLESPINNING

2022年01月30日

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~


RODDY FISHING TACKLE ENGINEERS
Spinning Reel No.825-RL
Spinning Reel No.925-RL


久しぶりにオールドタックルのブログ記事投稿です。今回は、稲村スピニングリールの " RL "(左右両用巻き)のお話です。



スピニングリールの左右両用ハンドル仕様は、特許サイトを調べてみるとShakespeareの発明とされています。メインギアの中心に左右どちらからでもハンドル軸をねじ込めるおなじみの構造です。

米国では1968年に出願され1970年に認可されました。稲村製作所のRLスピニングリールは、Shakespeare型の構造を採用していますが、Roddy RLシリーズは、Shakespeareのパテント出願以前(1964年〜)に 824-RL ,825-RL ,925-RL の3モデルを市場投入しているので、時系列的な矛盾を感じてしまいます…。この時代の釣具 "あるある" ですね…w 考案が先か出願が先か…。少なくともRoddy RLシリーズは、スピニングリールの左右両用ハンドルの先駆けであったことは確かです。


左:Roddy 810-A 右:Roddy 825-RL
Roddyスピニングリールの同サイズ・モデル違いの比較です。左巻きの810-Aと左右両用巻きの825-RLです。ギア比やラインキャパシティはどちらも同じ。825-RLは左右両用であることこと、オシレーションシャフトエンドキャップが採用されています。当然のことながら、825-RLの方が上位モデルになります。

Roddyカタログより
Roddy RLシリーズは3モデルが設定され販売されました。


Roddy 824-RL
RLシリーズ最小モデルです。ミッチェル300のサイズ感で、カウンターバランスハンドルが採用されているあたり、かなりミッチェルを意識している(であろう)モデルです。残念ながら現物は所有していません。



Roddy 825-RL


現物所有の中型サイズです。今回のブログ記事ではこのモデルを中心に解説していきたいと思います。


Roddy 925-RL


現物所有の大型サイズです。このモデルはリールフット脱着式が採用されています。Shakespeare Sea Wonderシリーズをかなり意識している?デザインです。前にもブログに書いたことがあるのですが、ワタクシはこのサイズ感のスピニングリールが大好きで、中古品を見つけると真っ先に飛びつきますw

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Roddy 825-RL分解の図。
シンプルなパーツ構成です。この時代のスピニングリールは非常に整備性が高いのが特徴です。分解・組み立ては、特別な知識や技術は必要としません。ユーザー自身が整備していくものですね。もちろん販売店預かりでメーカーが整備するサービスも存在しました。日本では後者が主流だったようです。


左:Roddy 825-RL 右:Roddy 925-RL
Roddy(稲村製作所)のRLリールはのちに Convertible(コンバーチブル)と名称を変えてモデル名に使われるようになりました。稲村製作所が大和精工に買収された1968年前後です。



左右両用巻きは、もともと "左利きの釣り人" のために考案されたものです。米国でスピニングリールが爆発的にヒットした理由のひとつに、右手にロッドを持ってキャスティングをして、ロッドを持ち替えることなく、左手で即巻き取りができる…というオペレーションが高く評価されたことにあります。それまでのベイトキャスティングリールは、キャスト後はロッドを持ち替えるのが普通であったため、スピニングリールの合理的なオペレーションが大ウケしたわけです。


1950〜1960年代に米国で販売されたスピニングリールのほとんどは左巻き。つまり "右利きの釣り人" のために作られたものがほとんどで、左利き需要のために、各リールメーカーの主力モデルに右ハンドルが極少数のみ設定されていました。ベイトキャスティングリールで一世を風靡したABU Ambassadeur ですら、左利きモデルの設定が無かった時代です。(ベイトの場合は左ハンドルが左利き用です)Ambassadeur は、1972年にようやく左利き向けモデル "5001C" が登場しました。


左右両用仕様のスピニングリールが当たり前のように普及した現在では、利き手に関係なくユーザーの好みで、ハンドルを左右付け替えて多種多様な使われ方をされます。ベイトキャスティングリールにおいても左ハンドルモデルの設定は当たり前で、ベイトフィネスといわれる渓流魚のルアーフィッシングでは、ベイトタックルをスピニングリールのようにオペレーションするスタイル(右利き・右投げ・左巻き)が主流です。そう考えると便利な時代になったものですw

ですが…もしもスピニングリールの左利き需要の声がメーカーに届かなかったとしたら…左右両用ハンドルの発明や、左ハンドルのベイトキャスティングリールの一般化は無かったのかもしれません。


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Posted by Fishbone at 16:21Comments(0)OLD FISHING TACKLESPINNING

2021年09月18日

第3村に降り立った青鷺 ~ TRUE TEMPER - BLUE HERON No.707 ~


TRUE TEMPER - BLUE HERON No.707
TRUE TEMPER - BLUE HERON No.727
TRUE TEMPER - BLUE HERON No.737


漫画やアニメ、映画などで描かれるフィッシングタックルは、不思議と惹きつけられるものがあります。今回はアニメ作品に登場したタックルのお話です。



TRUE TEMPER - BLUE HERON No.707

画像は TRUE TEMPER - BLUE HERON No.707 。米国の大手スポーツ用品メーカーTRUE TEMPER社が1970年に販売した、スピニングリールシリーズ最小モデルです。



このリールは、2021年に公開された " シン・エヴァンゲリオン劇場版 " の劇中で描かれました。映画公開当時も一時話題になったものです。ぼくは同作品を Amazonプライムビデオで見たのですが、問題のリールのシーンでは(本編そっちのけで)過剰に反応してしまいました…w


今回はシンエヴァで描かれた TRUE TEMPER - BLUE HERON シリーズを紹介します。


まずはTRUE TEMPER社(以下TT社)について解説します。

創業は古く1902年。ニュージャージー州で、熊手や三又といった農具製造メーカーとしてスタートしました。1910年には拠点をオハイオ州に移し、企業合併を繰り返しながら1930年には米国最大手の農具メーカーとなりました。手農具の分野では米国内で90%の市場シェアを誇りました。農具の他には、フィッシングロッド、ゴルフクラブシャフト、スキーストックといった、中空シャフト製品を中心に開発・製造していました。釣具はロッド製造を専門としていましたが、1957年にリールメーカーのOCEAN CITYを傘下に引き入れ、さらに1967年にはBronsonも傘下にしたことで、釣具総合メーカーとしてはラスボス的な存在となりました。現在は釣具事業からは撤退し、大手ゴルフクラブシャフトメーカーとして名を馳せています。



リールの話に戻して…
BULUE HERON 700シリーズは1970年にTT社のカタログで発表されました。最小サイズの707から、727 ,737 ,747 の全4サイズで、スピニングリールの他に、スピンキャスティングリール300シリーズや、ルアーフィッシングロッド5700シリーズもBLUE HERONファミリーとして展開されました。





画像は最小サイズの707、中型サイズの727、中大型サイズの737です。707はミッチェル308と300の中間くらいのサイズ感です。個人的にはソルト向けの大型スピニング737(スピンフィッシャー706サイズ)の方が好みだったりします。



リールフットには " TRUE TEMPER JAPAN " の文字が確認できます。このリールはメイドインジャパン。じつはオリムピック釣具のOEM製品なのです。

これは不思議な縁というか…オリムピック釣具は植野オール金属製作所時代に、OCEAN CITYとの商談がきっかけで、スピニングリールの開発をはじめ、北米市場に進出しました。その縁もあってか、TRUE TEMPERとのOEM契約が実現したのだと思われます。(※OCEAN CITYはTRUE TEMPER傘下のリールメーカーでした)




オリムピック釣具からは、日本国内でも同モデルが "ツルーテンパー707(727)" の製品名で逆輸入販売されました。" トゥルー " ではなく " ツルー " です…w その他にも、TTブランドのマルチプライングリール(←こちらはOcean City製)も販売していました。



ぼくが知る限り日本国内販売は707と727の2モデルのみで、737 ,747 の中大型サイズは北米で販売されました。ぼくが所有するNo.737は北米仕様ということになります。



ちなみに米国で使われたシリーズ名 " BLUE HERON " は " 青鷺(アオサギ)" を意味します。ドラグノブにも青鷺マークがあしらわれ、なかなかステキなネーミングだと思うのですが、残念ながら日本ではこのシリーズ名は浸透しませんでした。リールの外箱や同梱された取説にBLUE HERONの印字が確認できますが、オリムピック釣具のカタログ表記は " ツルーテンパー707 " 。TTブランドを推していたようです。



TTスピニングリール700シリーズは、構造的には、減速オシレート無しのストレートベベルギア仕様です。スプールはスクリュー(ドラグノブ)脱着式。ごくごく普通なインスプールスピニングリールです。

当時の米国釣具メーカーの多くは、この " 普通のスピニングリール " を製造する技術が欧州や日本メーカーに及ばす、OEM提供に依存していたのが実状でした。米国内メーカーで高品質なスピニングリールを自社製造していたのは、Penn社とShakespeare社くらいでした。(のちにShakespeare社は大森製作所とOEM契約。スピニングリールの自社製造を終了しました)



TTスピニングリールは、以前ブログで取り上げた " オリムピック850 " と同じ内部構造で販売時期もほぼ同じです。ブランドは違いますが兄弟モデルとなります。仕様的にはOlympic 850の方が上位モデルです。



さて、シンエヴァで描かれたTT BLUE HERON 707。劇中のカットっぽく画像を構成してみましたw





シンエヴァの第3村パート制作初期には、リールの作画は " ダイワ・カルディア(初代2002年モデル) " が提案されましたが、庵野監督はカリカリとラチェット音がするリールを御所望だったそうで、作画監督が所有していた " BLUE HERON No.707 " が採用されたとのことです。劇中の効果音も707実物のラチェット音が収録されました。



画像のロッドは劇中で使われたロッドとは違う代替品です。似たグリップ形状のものを選んでみました。(手持ちのものはコレしかなかったんです…w)

劇中のロッドは " Alpha Tackle River Stone (アルファタックル・リバーストーン) " が使われて(作画されて)いました。モデル型式はおそらくGBSシリーズだと思います。リバーストーンのルアーロッドはレギュラーからスローなテーパーが特徴で、今どきのシャキッとした高弾性ブランクとは正反対な特性です。劇中ロッドはぱっと見、リールシートが Fuji のFPSシートに見えますが、金属製スクリューロック式です。

こちらのロッドも作画監督の所有品だったそうです。じつはリールよりロッドのほうが流通量は少なく(←不人気モデル)希少価値が高いんじゃないかと思ってます…w



1970年代初頭の日本の " 第一次ルアーブーム " ではトラウトフィッシングが主流でした。ウルトラライトサイズのスピニングリールが日本のフィールドにマッチし、ミッチェルやカーディナルなどの輸入リールがもてはやされました。ですが、輸入リールはとても高価だったため、国産のオリムピックや大森製作所、稲村製作所などの比較的安価なスピニングリールがルアーフィッシング用に普及していきました。今回紹介したTT BLUE HERON 707もそのひとつです。



1960年代〜70年代にオリムピックが輸出していたインスプールスピニングリールは、なんといっても安価で壊れにくいのが北米市場での人気の理由でした。BLUE HERON 700シリーズは日本でも販売されていたことから、そこそこの市場流通はあったと思いますが、ミッチェルやカーディナルの世界的な流通量には遠く及ばず…最近はあまり見かけなくなりました。


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Posted by Fishbone at 11:41Comments(0)OLD FISHING TACKLESPINNING

2021年03月13日

魅惑のラチェットカスタム ~ ABU Garcia Cardinal C5 ~



ABU Garcia Cardinal 5 (C5)

今回はちょっと新しめのタックルです。
Made in JapanのカーディナルCシリーズ。1984年モデルです。C3 ,C4 ,C4X ,C5 の4モデルのラインナップで、製造は愛知県の " 瑞穂機械製作所 " が担っていました。オリムピックやピュアフィッシングの復刻カーディナルも瑞穂製ですね。画像のC5は通称グリーンラインと呼ばれる前期型で、のちのマイナーチェンジで意匠(ラベルデザイン)と、ラインローラーのパーツ構成が変更されました。

ウチのC5は、90年代に主にシーバス用に使っていました。当時、京浜運河とか、湾奥ではさっぱり釣れなかったのですが…渡船で沖堤防に行くことをおぼえてからは釣果が上向き、シーバス釣りが楽しくて楽しくて…♫ 東京湾の野島堤防や第二海堡はまさにシーバス天国でした。



当時のぼくのシーバス釣りのスタイルは、キャストしたらタダ巻きがほとんどで、巻きの釣りが中心でした。他にもリールを持っていましたが、カーディナルC5のウォームギアの巻き心地がとくにお気に入りでした。いろんなシーバスルアーが売られていましたが、安定のラパラCD5〜CD9を使うことが多かったです。



C5は1台を使い潰してしまって…画像のC5は僕にとって2台目になります。

Cシリーズのグリーンライン(前期型)は、ラインローラーの横の溝にラインが引っかかりやすい欠点を持っていました。C4に8lbラインの組み合わせで使っていたことがあるのですが、それは酷いものでした…。 ですが、不思議とC5はそんなトラブルは皆無でした。ラインローラーは同じ構造のはずなのに…。シーバス釣りでは10lb〜12lbの太めのラインを使っていたこともトラブルとは無縁だった理由かもしれません。なので、僕的にはCシリーズの傑作機はC3でもC4でもなく " C5 " なのです…w



画像は、カーディナル44(オリムピック復刻版)とC5の比較です。どちらも瑞穂製カーディナルなので、ボディー形状やサイズはまったく同じ。(いくつかの)パーツ互換もあります。

カーディナルCシリーズの開発のコンセプトは、クラシックデザインに当時の最新の機能を搭載することでした。スカーテッドスプール、減速オシレート、左右両用ハンドル…など、最新の仕様を取り入れつつも、伝統のウォームギアの巻き心地は日本製になっても健在でした。また、一目でカーディナル…とわかる外観上のデザインが、このシリーズの人気が衰えない(?)理由なんだと思います。

カーディナルファンの間では、インスプールだったら良かったのに…とか、トーション式ベイルスプリングが片側1個しかなくて折れやすい…とか、このサイズで減速オシレートはいらないんじゃない?…とか、サイレントストッパーの遊び多すぎ…とか…いろいろツッコまれているようですが…、ぼくには " C5 " という絶妙なサイズ感がすごく相性が良く、こればかり使っていました。ボディーサイズは4とまったく同じで、頭 (スプール) だけ大きいのが良かったんだと思います。



ウチのC5はこんなカスタムをしています。動画にしてみました。音を聴いてみてください。



ラチェットストッパー仕様です。じつはコレ…瑞穂カーディナル44のストッパーパーツをまんま移植しました。渓流アングラーの間では、カーディナルC3カスタムの定番とされるやつですね。これで湖水のグリグリメソッドもいけます♫





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タグ :ABUCardinal


Posted by Fishbone at 08:31Comments(0)OLD FISHING TACKLESPINNING

2021年03月07日

高速巻取りと停止の釣り ~ ABU Cardinal 4 ~



ABU Cardinal 4 / 44
Rapara F13
Balsa50 Browny
Swift Acua Bach


前回に続き、芦ノ湖のトラウト狙いで使っていたタックルのお話です。今回はボートからのアプローチで活躍したリールやルアーの紹介です。






ABU Cardinal 4 / 44
芦ノ湖のブラウントラウト狙いの定番リールでした。何をいまさら…説明するまでもない名機ですね。まるで事務机とかスチールロッカーで使われていそうな配色が妙にそそります…w 日本では最小サイズのカーディナル3が人気 (渓流アングラーに絶大な人気) のようですが、芦ノ湖など湖水のトラウトフィッシングを楽しむアングラーは、やはり4サイズ。ラチェットストッパーがビタッ!と気持ち良く止まる使いやすいリールです。画像はエビスフィッシング取り扱い時代の4。そしてオリムピック取り扱い時代の復刻版44です。


芦ノ湖では " グリグリメソッド " と呼ばれる、細身のミノーを使った釣法が、地元アングラーたちによって考案され、雑誌記事でも紹介されていました。ロッドとラインは角度を付けず一直線にして、高速のストップ & ゴーで、トラウトのリアクションバイトを誘発させる釣り方です。これはイワナ系の鱒には絶大な効果があって、芦ノ湖では大型ブラウン狙いのテッパンメソッドでした。河川(本流)のイワナや菅釣のイトウにも効果がありました。ボートからのアプローチがメインで、8.5フィートのロッドにカーディナル4。ラインはナイロン8lb。ルアーは、ワカサギを模した13cmのフローティングミノー。

グリグリメソッドにカーディナルを使うのには理由があって…それは " 音 " です。リーリングのラチェット音を聴いて、ストップ & ゴーのスピードやリズムの調整をするのです。リーリングスピードで音程が微妙に変わるので、それでその日のヒットパターン(リズムとスピード)を掴むのに役立ちました。ぼくが好んで使っていたのは、「ジィージィーッ!ジィージィージィーッ!」というパターン…。 文字だけでは何のことやらサッパリわかりませんね…w

道具(リール)なんて慣れてしまえば何でも良いのかもしれませんが、ぼくの場合、芦ノ湖のグリグリだけは、カーディナル4じゃないとダメでした…w (これじゃないと釣れる気がしない) リールサイズ、巻き抵抗、ラチェット音、ストッパーの遊びなど…使い手本人にしかわからない感覚的な要素ですね。



ぼくが芦ノ湖で使ったミノーは…ラパラF13黒金にはじまり、ムラセミノーのプラスチック量産版アクアバッハ、ザウルス・ブラウニーあたりを好んで使っていました。ラパラF13は芦ノ湖ブラウンを初めて釣ったミノーでした。アクアバッハ(ワカサギカラー)は、" 白浜〜ムジナの窪 " エリアでかなり活躍してくれました。ブラウニーは3つの中ではいちばん巻き抵抗が少なく、芦ノ湖だけではなく河川でも使いやすいミノーでした。芦ノ湖の3種の神器と呼ばれる(?)ラパラF13、アクアバッハ、ブラウニー。これらは今も手元に残っています。

そういえば…ハンドメイドミノーにはまったく縁が無かったですね。量産品ばかりを使っていました。

90年代の芦ノ湖通いは良い思い出です。




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Posted by Fishbone at 08:16Comments(0)OLD FISHING TACKLESPINNING