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2015年04月26日

永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜

オリムピック 93シリーズ。
ぽんこち釣具界では、マストアイテムとされている(?)スピニングリール。すでに紹介され尽くされた感があり、何をいまさら…ですが、このリールには "両軸リール偏愛" の自分をも虜にする魅力があります。

永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜

『オリムピック93型』
永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜

戦後復興から高度経済成長期へと差しかかろうという頃の日本。来たるべきグラスロッド時代を見据え、オリムピック93型は1954年(昭和29年)に開発がはじまり、初代モデルは1956年(昭和31年)に販売開始されました。それまでの日本製釣具には無かった " 海釣り用大型スピニングリール " 。また、日本製初となるスカーテッドスプール(アウトスプール)を採用し、グラスロッドやナイロンラインの普及にシンクロするかのように人気を博していきました。93型→スーパー93→ウルトラ93→サーフ93→純93→EX93…と、シリーズをとおして、そのデザインと構造は受け継がれ、日本製スピニングリールとしては異例のロングセラーとなった製品でした。

永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜
これは初代(第一世代)93型。ウチの93は1956〜1960年頃のものと思われます。1960年初頭には第二世代へとマイナーチェンジしました。第二世代はサイドプレートにトビウオ五輪マークがつきます。

ちなみに世界初のアウトスプールを開発したのはダイワ…という説がありますが、ダイワの創業は1958年で、オリムピック93の販売は1956年…。この時系列的な矛盾は、考案が先か、販売が先か…あたりにカラクリがありそうです 何にしても市場に出たアウトスプールスピニングはオリムピック93型のほうが先です。

永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜 永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜
画像の93は、左から93型(第2世代)、スーパー93、サーフ93

93シリーズは右巻き、左巻きが別仕様で販売されました。ぼくが入手した93はどれも左ハンドルモデル。(スピニングリールの右巻きは使いにくくて…)今では当たり前な左右両用ハンドルは、シリーズをとおして採用されることはなく、純93、93EXでは左ハンドルモデルは極少ロットの出荷に抑えられました。実際、中古品の流通量は圧倒的に右巻きが多く、かつての日本人アングラーの右巻き需要の高さがうかがい知れます。


余談ですが、日本でスピニングリールが普及する以前…輸入品の左ハンドルのミッチェル(ハーフベイル)を初めて見た日本の釣具業界人は「なんだ!このイカとタコの合いの子みたいなカタチは…w」「こんなもんで釣りができるのか?w」とバカにしたり、リールを上向きに持って右手で手前にハンドルを回すヒトがほとんどだったとか…w そのミッチェルを完全にコピーして作られたのが " オリムピック81型 " 。日本初のスピニングリールだったりします。

永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜




さて、オリムピック93の魅力は何といっても、その美しいボディーシェイプ。日本製リールのオリジナルデザインで、これほどまでに日本人に " 響く" 完成されたデザインはそう多くは無いと思います。そのデザインのタネあかしを知って(参考文献:近代釣具開拓の父)、ナルホド!…と納得してしまいました。

デザインのキーコンセプトは3つあったそうです。

永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜
ひとつ目は " 戦艦大和 " 。一見小さく見えるが艦船砲や収容できる戦備は他の戦艦より圧倒的な収容力を誇る。つまり大容量ラインキャパシティを確保しつつ、ウォームシャフトストロークのためのシェルケースをボディ後端に突き出させる工夫で、コンパクト化と軽量化を実現。


永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜 永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜


永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜
ふたつ目は、リールフットのバランスを徹底追及したうえで、当時の自動車車体デザインの傑作といわれた " フォルクスワーゲンビートル " のリアスタイルを模倣すること。

永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜
みっつ目は、日本初のスカーテッドスプール(アウトスプール)を " 零式艦上戦闘機(ゼロ戦)" のノーズ部分の造形に近づける。というものでした。

永遠の93 〜OLYMPIC Model 93〜

" 大和 " 、" ビートル " 、" ゼロ戦 " …。戦後復興を乗り越えてきた日本人に自然と受け入れられる…日本人の潜在意識に響く何か?を満たしたデザインだったのでしょうね。

めずらしくスピニングリールでアツくなってしましました。中古流通量も多めなので(とくに右ハンドル)興味ある方は是非!w



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この記事へのコメント
イイですね〜93!

ボクが子供のころ、投げ釣りの真似事をやってた時には(70年代)、ガキのボクには良さがわからず、もっと角張ったリールが好きだったのですが、オッサンになった現在改めてみると、なんて素敵なデザインなんでしょう!

大和、ビートル、ゼロ戦なんてシビレっぱなしですよ。
ボクも1台欲しいなんて、物色してるんですが、ボクもスピニングは左巻きなもんで、なっかなか手頃なの出てこないですね、いつか手に入れたいリールです。
Posted by ティワン at 2015年04月27日 15:59
おぉ~、両軸名人も93には脱帽ですね(o^-')b
私もライバルの釣友がオリム党でなければ、今頃93とアマゾン持ってたと思います(^^ゞ

93は、直交型ギヤでハンドルシャフトを貫通させられないため、左右別設計にしなければなりませんでした。
でも、両方同時展開するのはコストがかかるため、オリムは需要の多かった右を推したんでしょうね、残念(ーー;)

当時の投げ師御用達、単純明快、質実剛健メカ、そしてこのデザイン、良いデスよねぇ~
昔、お尻の突起はリアドラグだと思ってました(^^ゞ
Posted by しん at 2015年04月27日 19:29
珍しいですやん♪
お好きなんですね、93

これはほんとに名機だと思うのですが、とにかくベールが落ちる、落ちるw
いまでこそ、落とさずに投げられるようになりましたが、手投げしかできなかった少年時代は閉口しました。

いまでも、簡単な改造でローターロックとかベール落ち防止機構がつくれないか、考えてしまいます。
だれか開発してくんないかなー(笑)
Posted by じゃこごうこ at 2015年04月27日 22:34
あれ?釣行記だと思ったんですが今回はリール記事なんですね~。
Posted by 誠 at 2015年04月28日 02:29
46センチ砲~!!

大和ホテルに武蔵旅館!

すでに時代は 空戦に・・・ 

悲しいですね

武蔵 みつかりましたね
Posted by なぞの男 ぐりふぃん at 2015年05月02日 10:54
>ティワンさん
ぼくも子どもの頃は角張ったダイワのスピニングのほうが好きでした。でも、歳をとってその良さに目覚めるみたな… やっぱり93はオッサンホイホイなんでしょうねw 左ハンドルは良いのなかなか無いですよね〜

>しんサン
93良いです〜ホント!
直交型ギアの構造的都合上、左右別設計なんですね。左右両用にするには大幅な構造変更をしなければいけないでしょうし、そーなるともう93では無くなってしまうのかな…?^^;) リアの突起はリョービのリールにもありましたね。プロスカイヤー? 93より後の機種ですけど。

>じゃこサン
近代釣具開拓の父の影響が大です…^^93熱。
リールフットの長さと言いバランスの良いリールですね。じゃこサンご所蔵のウルトラが羨ましくてうらやましくて…^^;)  ベールの落ちは、力を入れずとも外蹴りで返ってしまいますもんね…。腕投げだと即死ですねw その点、じゃこサンの身体投げ(?)スタイルはそんなトラブルは無いわけですね。。

>誠サン
釣果レポートは… ガシラ1匹しか釣れなかったんで…記事にするのやめましたw  良い釣果がでたらすぐ載せますけどね。。

>ぐりサン
艦隊戦は第二次世界大戦開戦時にはすでに時代遅れ感があったみたいですしね…。皮肉にも空母から艦載機で攻撃する戦法を世界に先駆け確立したのは旧日本海軍だそうで…^^;)
Posted by FishboneFishbone at 2015年05月03日 10:21
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