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2022年01月30日

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
RODDY FISHING TACKLE ENGINEERS
Spinning Reel No.825-RL
Spinning Reel No.925-RL


久しぶりにオールドタックルのブログ記事投稿です。今回は、稲村スピニングリールの " RL "(左右両用巻き)のお話です。



スピニングリールの左右両用ハンドル仕様は、特許サイトを調べてみるとShakespeareの発明とされています。メインギアの中心に左右どちらからでもハンドル軸をねじ込めるおなじみの構造です。
稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
米国では1968年に出願され1970年に認可されました。稲村製作所のRLスピニングリールは、Shakespeare型の構造を採用していますが、Roddy RLシリーズは、Shakespeareのパテント出願以前(1964年〜)に 824-RL ,825-RL ,925-RL の3モデルを市場投入しているので、時系列的な矛盾を感じてしまいます…。この時代の釣具 "あるある" ですね…w 考案が先か出願が先か…。少なくともRoddy RLシリーズは、スピニングリールの左右両用ハンドルの先駆けであったことは確かです。

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
左:Roddy 810-A 右:Roddy 825-RL
Roddyスピニングリールの同サイズ・モデル違いの比較です。左巻きの810-Aと左右両用巻きの825-RLです。ギア比やラインキャパシティはどちらも同じ。825-RLは左右両用であることこと、オシレーションシャフトエンドキャップが採用されています。当然のことながら、825-RLの方が上位モデルになります。

Roddyカタログより
Roddy RLシリーズは3モデルが設定され販売されました。

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
Roddy 824-RL
RLシリーズ最小モデルです。ミッチェル300のサイズ感で、カウンターバランスハンドルが採用されているあたり、かなりミッチェルを意識している(であろう)モデルです。残念ながら現物は所有していません。


稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
Roddy 825-RL

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
現物所有の中型サイズです。今回のブログ記事ではこのモデルを中心に解説していきたいと思います。

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
Roddy 925-RL

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
現物所有の大型サイズです。このモデルはリールフット脱着式が採用されています。Shakespeare Sea Wonderシリーズをかなり意識している?デザインです。前にもブログに書いたことがあるのですが、ワタクシはこのサイズ感のスピニングリールが大好きで、中古品を見つけると真っ先に飛びつきますw

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稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
Roddy 825-RL分解の図。
シンプルなパーツ構成です。この時代のスピニングリールは非常に整備性が高いのが特徴です。分解・組み立ては、特別な知識や技術は必要としません。ユーザー自身が整備していくものですね。もちろん販売店預かりでメーカーが整備するサービスも存在しました。日本では後者が主流だったようです。

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~ 稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
左:Roddy 825-RL 右:Roddy 925-RL
Roddy(稲村製作所)のRLリールはのちに Convertible(コンバーチブル)と名称を変えてモデル名に使われるようになりました。稲村製作所が大和精工に買収された1968年前後です。


稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
左右両用巻きは、もともと "左利きの釣り人" のために考案されたものです。米国でスピニングリールが爆発的にヒットした理由のひとつに、右手にロッドを持ってキャスティングをして、ロッドを持ち替えることなく、左手で即巻き取りができる…というオペレーションが高く評価されたことにあります。それまでのベイトキャスティングリールは、キャスト後はロッドを持ち替えるのが普通であったため、スピニングリールの合理的なオペレーションが大ウケしたわけです。

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~ 稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
1950〜1960年代に米国で販売されたスピニングリールのほとんどは左巻き。つまり "右利きの釣り人" のために作られたものがほとんどで、左利き需要のために、各リールメーカーの主力モデルに右ハンドルが極少数のみ設定されていました。ベイトキャスティングリールで一世を風靡したABU Ambassadeur ですら、左利きモデルの設定が無かった時代です。(ベイトの場合は左ハンドルが左利き用です)Ambassadeur は、1972年にようやく左利き向けモデル "5001C" が登場しました。

稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~ 稲村のLeft Right ~ Roddy 825-RL ~
左右両用仕様のスピニングリールが当たり前のように普及した現在では、利き手に関係なくユーザーの好みで、ハンドルを左右付け替えて多種多様な使われ方をされます。ベイトキャスティングリールにおいても左ハンドルモデルの設定は当たり前で、ベイトフィネスといわれる渓流魚のルアーフィッシングでは、ベイトタックルをスピニングリールのようにオペレーションするスタイル(右利き・右投げ・左巻き)が主流です。そう考えると便利な時代になったものですw

ですが…もしもスピニングリールの左利き需要の声がメーカーに届かなかったとしたら…左右両用ハンドルの発明や、左ハンドルのベイトキャスティングリールの一般化は無かったのかもしれません。


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