Angler's Life　～浮かべ釣道～

Ocean City model 2707
Free-Spool Surf-casting Reel

Ocean City Mfg.の創業は1922年。その初期製品を手に入れました。（おそらく1923年モデル）　Ocean Cityが大量生産ビジネスへとシフトしていく以前のハンドメイド期製品です。創業当時は卸売がメインで自社製造の体制はできていなかったので、おそらく何人かのリール職人と契約してOcean Cityブランドで販売していたのだと思われます。Pennの創業者もOcean Cityのリール職人出身でした。当時の貨幣価値はよくわかりませんが、$10の価格はかなりの高級品だったと思われます。



ジュリアス・ボムホフの " B-Oceanリール " のパテントは1928年まで効力があったため、この時代のほとんどの海釣用キャスティングリールには、アンチリバース・スタードラグは無く、フリースプールのみを搭載したものでした。そのフリースプール機構もB-Oceanリールとは異なる機構を採用していました。1930年代後期まではフリースプール・ダイレクトリールがサーフフィッシングの定番リールとして普及していました。いわゆる " ナックルバスターリール " です。

※B-Oceanリールやナックルバスターリールの解説は過去記事をご覧ください。







この時代のOcean Cityリールの特徴は、ジャーマンシルバー製ボディにハードラバープレートを組み合わせたもので、リール職人により一点ずつハンドメイドされたものでした。



入手時は、経年でジャーマンシルバーボディーがかなり黄ばんでいて、ひっじょぉ〜に見た目が悪いリールでした…w　あまりにも酷かったので少しだけピカールで磨いてやりました。それと、フリースプールレバーが固着気味だったので、全バラオーバーホールもしてやりました。（今となっては）ネジ1本であっても非常に貴重で、パーツの入手はほぼ無理なので、かなり慎重にバラしていきました…。



OH後に組み上げた状態です。見た目はだいぶマトモになりました。ピカール磨きはサイドプレートのみにとどめました。( あまりにも手間がかかりすぎて途中で心折れました…w )



機関はスムーズそのもの。バッチリ機能します。若干の青サビが残っていたり、ハードラバープレートの欠けがありますが、まぁ…この時代のリールのコンディションとしては許容範囲です。



大量生産のイメージが強いOcean Cityリールですが、初期製品はビンテージリールとしての魅力がかなり高いです。やっぱりハンドメイドは良いですね♫



この時代のフリースプール機構は独特な構造で、クラッチレバーを動かすとハンドル軸も一緒に動きます。つまりドライブシャフトの位置が巻上げ時とキャスト時でズレるのです。これはメインギア（メカプレート側）とピニオンギア（スプール側）の切り離しを、メカプレートごと横にずらす構造からきているものです。



一見すると、メインギアシャフトのセンターがズレていて不良品？と勘違いしてしまいそうですが、こういう仕様なのです。シャフトカバーの内側に余裕があってスカスカなのは、シャフト移動ためのスペースなのです。




歴代のOcean Cityサーフキャスティング・リールを並べてみました。左からModel 2707 , BRIGANTINE No.111, Sears Allcoast (Brigantine OEM)。奥の1台はBay City No.112Dです。特徴的な三日月型の '' Top free Spool lever " や、オートリターンの " Automatic free spool lever " が装着されているので、Ocean City製品であることがひと目でわかりますね。



Bay City No.112Dを除き、手前の3台は全てナックルバスターリールです。キャスト時はフリースプール。サカナを掛けてからはダイレクトファイト…。最近はこの仕様（ダイレクト・フリースプール）のリールがお気に入りです。



この手のジャンル（ニューヨークスタイルのサーフフィッシングタックル）はあまり人気が無いようで…比較的カンタンに安価に入手しやすいのが嬉しいところです。



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